診療ノート

歯の根が割れた奥歯をインプラント治療 #2

30代男性

治療中

抜歯後の予防処置施術

抜歯後の骨を守る予防処置をします

先回、お話ししたようにどれほど良い治療が出来たと思っていても、歯根の破折は起こることがあります。これは虫歯や歯周病など歯だけでなく、ブラキシズムと呼ばれる「食い縛り」・「歯ぎしり」も影響することがあるためです。

今回は、保存不可能と言える状態だった奥歯を抜歯して、インプラント治療を患者さんは選択されました。

大塚歯科クリニックでは、歯とからだに負担の少ない歯科治療、予防的な歯科治療を大切にしています。これはインプラント治療においても同様です。これは、奥歯の抜歯後のソケットプリザベーションと言う処置です。抜歯窩(歯を抜いたあとの穴)に人工骨を入れて充填し、コラーゲンの膜で覆って縫合したところです。

抜歯をして歯を支える役割を顎骨が失うと、その場所では骨吸収がおこり文字通り骨が痩せていきます。インプラント治療は顎にチタン製の歯の支台を埋める治療ですから、文字通り土台となる骨が細く、弱く、痩せてしまってはインプラントの成功率(定着率)は著しく低下してしまいます。そのため予防的に抜歯後の骨を維持・再生する処置が必要で、それがこのソケットプリザベーションというインプラント治療の前処置です。
抜歯は骨をはじめとする周囲の組織を傷つけない様に慎重に行います。そのうえで抜歯窩に不良肉芽が残らないように掻爬専用の器具をつかって丁寧にお掃除(掻爬)をします。この歯を抜いたあとのお掃除はとても大切なので、オペに係わる2名の歯科医師でダブルチェックをおこないます。

その後、骨芽細胞の働きを促す人工骨を挿入してコラーゲンの膜で抜歯窩(歯を抜いたあとの穴)を丁寧に覆い、手術用の糸で縫合しました。通常は2ヶ月から3ヶ月で骨の再生とともに、上皮(歯ぐき)が治癒します。

担当歯科医師 : 大塚歯科クリニック院長 大塚 武仁
・日本歯科大学 インプラント科 教授 柳井 智恵