診療ノート

残せる虫歯、残せない虫歯 2

左下側の一番後ろの奥歯の隠れた虫歯は、保存が不可能な状態だったため抜歯診断とした所まで、前回のノートでお話しました。デンタルIQ に長けた患者さんのご希望を受けて、抜歯後の治療はインプラントでの再建と治療方針が決まっていたことから、抜歯同時にソケットプリザベーションを計画しました。

治療前正面レントゲン

下顎は奥にいくに従って細くなっていく形態をしているので、神経・血管とインプラントの安全な距離をとることが難しくなりがちです。更にこの患者さんは、初診時から虫歯による骨吸収がありました。

抜歯をすると抜歯窩という歯の根が埋まっていた穴が空きます。ご存じかも知れませんが自然に歯ぐきによって穴は治るのですが、同時に顎の骨も吸収され痩せて薄く弱くなります。ソケットプリザベーションというのは、抜歯窩に骨補填材を挿入して骨吸収を軽減する治療法です。 これによりインプラント治療の確実性を向上させることができるため、患者さんの同意を得て、抜歯同時GBR*(リケットプリザベーション)施術を致しました。
* Guided Bone Regeneration

大塚歯科クリニック 院長 大塚 武仁
日本歯科大学 インプラント科 教授 柳井 智恵