症例紹介

上顎3歯のジルコニアブリッジ治療

70代 女性 / 2024年8月1日 公開

治療前

治療後

治療内容

  • ・左上1番抜歯
  • ・抜歯窩掻爬
  • ・骨充填(GBR)
  • ・暫間的部分入れ歯
  • ・ジルコニアブリッジ

治療費用

¥940,500
費用明細はこちら

患者さんは70代の女性です。大塚歯科クリニックに令和2年から通院されていた患者さんで、その後も定期検診を続けてくださっていました。他院で保険で治療した前歯(左上1番)の違和感を感じるとのことで、改めてご来院頂きました。
患者さんご本人は歯科インプラント治療をご希望でしたが、お口全体(一口腔内)の状況と前歯の骨状況を総合的に診断した結果、ブリッジを第一選択としてお勧めしました。患者さんにもご納得頂き、ジルコニアブリッジの治療を開始しました。

STEP1 ご来院時

前歯部は他医院での治療で歯の根の治療とともに、太く大きなメタルコア(金属製の心棒)で、かぶせ物治療をお受けになられていた患者さんです。歯肉の退縮、骨の吸収も進み、噛みしめや日々のお食事のなかでメタルコアが「杭」のように作用して歯根に力をかけつづけた結果、歯根破折が強く疑われる状況でした。

STEP2 現状と治療計画

患者さんご本人は歯科インプラント治療をご希望でしたが、歯周病の進行による上顎骨の吸収と歯ぐきの退縮、噛み合う下顎前歯の部分入れ歯のご利用状況、そしてインプラントオペに対しては不足している顎骨の事前処置、外科手術をふくめ年齢的なご負担を総合的に判断した結果、ブリッジを第一選択として丁寧にお伝えして患者さんにもご納得頂きました。
根が割れた歯の抜歯、その後の上顎骨の回復処置、歯周環境の改善のうえでジルコニア製のブリッジによる治療を選択しました。

治療内容
  • ・左上1番の抜歯 (破折疑い)
  • ・不良肉芽組織掻爬
  • ・骨充填 (GBR)
  • ・即時義歯
  • ・ジルコニアブリッジ(左上2番~右上1番)

STEP3 抜歯と抜歯窩の掻爬

破折が強く疑れた左上1番は抜歯診断となりました。やはり歯根もダメージを負っており、歯周疾患による骨吸収とともに骨量の低下がみられます。抜歯窩のケアとして丁寧な不良肉芽組織掻爬をおこないました。見逃されがちですが、抜歯後の良好な予後には大切な処置のひとつです。

STEP4 抜歯窩に対するGBR処置と一時的な入れ歯

骨充填(骨の再生治療)と言うとインプラント治療で使うものと思われがちですが、決してそれだけではありません。今回は左上1番を抜歯しましたが、もともと骨の薄い傾向のある方で、歯周病の進行により骨量も低下していました。
またブリッジでは左右の歯に出来るだけ垂直方向に、そして等しく噛む力を担わせることが理想的で、正しく処置をしていない抜歯窩(歯を抜いた穴)は左右で支えとなる支台歯の傾きの原因にもなります。見過ごされがちですが、ブリッジこそ骨と軟組織(歯ぐき)の安定は本当に大切なものと言えます。

また治療中に抜歯した欠損部が目立たないよう、一時的な入れ歯を作成しました。これは施術した抜歯窩の保護や残った両臨在歯を守る意味もありますが、何より目立つ前歯が無い状態で日常を過ごす、ストレスへのケアと言う側面があります。
そのため事前に歯型を採得し、骨充填と縫合のタイミングで一時的なこの入れ歯を直ぐにお使い頂けるよう並行して準備をしていました。大塚歯科クリニックでは患者さんのお気持ちをしっかりと受け止め、負担を軽減する治療や配慮をつねに意識しています。

STEP5 ジルコニアブリッジの制作と装着

抜歯窩の骨再生の経過と歯周組織の改善を定期検診で確認しながら進めます。約6ヶ月後に抜歯窩の骨が安定したことを確認し、ジルコニアブリッジの治療に移ります。シリコンで精密な歯型を採ったあと、プロビジョナル(精密な仮の歯)を制作します。一定期間、患者さんにこの仮歯で生活頂き、会話・食事・その他、日常での不都合や気になるところをご確認頂きます。

歯科医師の立場では、発音・発語・咀嚼・嚥下というお口の機能向上はもとより、安定した噛み合わせ位置の検証、開閉口運動が円滑に行われているかどうか?治療の目的でもある大切な部分を拝見します。また仮歯という言葉の響きから患者さんには「軽く」思われがちですが大切なステップで、正しくはプロビジョナルレストレーションと言います。
この期間に患者さんの生理的な要素、例えば筋肉や神経といったものが無意識下で覚えていた動作やタイミングを、新しい歯とお口の環境に順応させる期間(記憶痕跡の上書き)という目に見えない大きな意味も併せ持ちます。

今回は左上1番の前歯の不具合をご相談頂きましたが、安易にインプラントに頼るのではなく、このように患者さんの利益を最大限に考え、そして術後の負担や QOL も見据えたジルコニアブリッジの治療となりました。噛み合う反対の歯は既に失われて部分入れ歯となられていた事もあり、いわゆる教科書的な課題解決では、患者さんのお悩みに寄り添うことはできません。
歯科医目線での理想論を振りかざすのではなく、患者さんの主訴である左前歯の不具合の解消、ご希望の一つであった目立つ前歯の金属を白くしたいという希望を、強度と自然な透明感をもつジルコニアベースのブリッジを用いることで同時に解消しました。

また治療開始時と比較すると、今回主役となったジルコニアブリッジだけでなく全体的に歯ぐきが健康的な色で引き締まり、お口のなかが活き活きとしているのがおわかり頂けると思います。
70歳を超えて益々お元気にお食事を楽しみ、お話しを健康に過ごされるお姿というのは素敵で、そのお口の治療に大塚歯科クリニックを選んで頂いたというのは感謝のひと言です。
もちろん今回の治療で終わりと言うことは無く、お口環境の維持・管理とともに、QOL を更に向上させる治療提案も都度差し上げながら、大塚歯科クリニックは患者さんと二人三脚で、歯とお口の健康を見守って参ります。

治療費

治療は基本保険診療となり、ご希望により自由診療も選択頂けます。価格と税率は治療当時のものとなります
※治療費は全て税込の価格となっております。

印象採得

1

¥11,000

小計 ¥11,000
GBR

1

¥165,000

テルプラグ

1

¥11,000

即時部分入れ歯

1

¥49,500

小計 ¥225,500
印象採得

1

¥33,000

ジルコニア試適検査

1

¥11,000

ジルコニアブリッジ

1

¥660,000

小計 ¥774,400
治療費総計

¥940,500

治療費については治療費一覧のページもご覧ください。

治療担当

医師:大塚 武仁

治療リスクについて

治療中に一時的な咬合痛や冷温水痛、若干の歯肉の腫れ、発赤などを生じることがあります。また仮歯の時期には仮歯の脱離や破損の可能性、舌感などに違和感を感じることがありますが、本歯に移行するまでに通常消失します。
※すべて症例による違いや個人差があります。

掲載写真について

すべての写真データは大塚歯科クリニックによる臨床記録です。見た目を変える画像加工は行っておりません。またメーカーや学会誌からの転用などもございません。掲載写真は実際に治療を行った患者さんの同意を得て、治療を検討する方への情報提供と啓発を目的として公開しています。


Copyright © 2024 新小岩の歯医者 大塚歯科クリニック All Rights Reserved.